新しいURLは以下の通りです。
2020年9月10日、CHARGEの会
]]>『特別支援教育を必要とす子どもたちの ご家族・支援者の方へのガイドライン 』
をご紹介します。
この資料は、亀井笑さんから送っていただきました。
亀井さんは、都立ろう学校・盲学校教諭を務めたあと、社会福祉法人全国盲ろう者協会の職員となり、米国パーキンス盲学校養成ELPプログラム(Educational Leadership Program)に留学、現在はオランダの大学院に留学しています。国内外多くのCHARGEの子どもたちに寄り添い、いつも私たちを応援してくださっています。今回、子どもたちと家族にかかる負担やストレスを案じ、少しでも力になりたいと資料を翻訳してくださいました。たくさんの情報が掲載されていますが、日々の生活の中に無理なく楽しく取り入れられそうなものをひとつでも見つけてくださるとうれしいです。
この資料は、Bhutan Foundation の HP で公開されている“Guidelines for parents and teachers of children with special education needs”を翻訳したものです。著者の一人でも ある Namita Jacob さん(Perkins International スタッフ、Chetana Trust 責任者)の許可を 得て、翻訳する際には、日本のご家族、支援者の方々を対象としたガイドラインとして内容を 変更、加筆している箇所があります。
<参考資料> Bhutan Foundation “Guidelines for parents and teachers of children with special education needs” https://bhutanfound.org/covid-19-coronavirus/
このガイドラインが、現在ご自宅で過ごされている、子どもたち、ご家族の皆様のお力になれ ば幸いです。皆様のご健康と安全を心よりお祈りしております。
翻訳:亀井 笑
ダウンロード:
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]]>皆さんのお手元には届きましたでしょうか。
夏の集いに関するアンケート結果を中心に、
いくつかの記事を掲載いたしました。
次号の発行は、2019年春の予定です。
]]>メールフォームも現在正常に機能しておりますが、1週間たっても会からの返信がない場合は
直接メールにて再度ご連絡下さいますようお願いいたします。
メールの宛先
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入会申込み、お問い合わせ等は、
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]]>これはCHARGE症候群の全体、また個別の情報を提供するために書かれたものです。お子さんに起きている、あるいは起きるかも知れない問題や症状をよりよく理解するために書かれています。CHARGE症候群は非常に複雑な病気です。たとえ、これを注意深く読んだ後でも、たくさんの疑問が残るでしょう。それらの疑問に対しては、関わっている医療関係者などに、さらに尋ねてください。
CHARGE症候群とは、単一の病気ではありません。時に重度であったり、軽度であったり、いくつかの症状(体質)が集まった1つのグループです。お子さんの有する体質や症状を見出し、それがお子さんにどのような影響があるのか、正確に判断診断することは、時に困難なことがあります。このためには、余年にわたるたくさんの検査や診察が必要になることがあります。ここには、これらの多くの起こり得る症状を扱っています。お子さんは、その中のいくつかの症状を持っていると思いますが、全ては持っていないと思われます。CHARGE症候群を持つお子さんで、誰一人として同じ症状の組み合わせを持つお子さんはいません。
表1,2,3には、起こり得る大事な症状が示してあります。この表は、症状を有しているかどうかのチェックに使用できます。お子さんのことを、より理解すれば、よりお子さんに対して援助してあげられることが見つかります。
症候群とは、認識が出来、診断が可能な先天異常(体質)のパターンのことを言います。ある症候群のパターンは簡単に診断が出来ます。CHARGE症候群は、時に診断が困難です。CHARGEという名前の由来は、この症候群に最も通常に認められる先天的な症状の頭文字です。これらは、表1にまとめてあります。また、その表には、それぞれの症状の医療的な重要度や一般的な管理、治療法が記載されています。
CHARGE症候群を有する子供さんは、他の部分の症状や合併症を有することがあります。表2にCHARGE症候群の子供に起き得る症状をまとめます。これの症状については、巻末の用語の項で詳しく説明します。
各症状は、非常に幅広い重症度を示します。たとえば、心疾患について言えば、ある子供では非常に軽度で自然に治ってしまうこともあれば、他の子供では、いくつんの心奇形が重なり、命に関わるということもあります。また、もちろん心疾患を持たないお子さんもいらっしゃいます。
診断の確定
他の多くの症候群と違って、CHARGE症候群を診断するための特別な検査はありません。CHARGE症候群という概念が確立されるまでは、原因不明の多発先天形態異常症候群と呼ばれていました。専門家達は、その発生(成り立ち)に関連の薄いいくつかの先天的体質(異常)が存在した時に、CHARGE症候群を疑います。多くの場合、ひとつひとつの先天異常はCHARGE症候群にだけ特有のものではありません。その組み合わせが特別で、CHARGE症候群という診断が可能となります。
CHARGE症候群の疑いがあるといわれると、多くの専門科によって、それぞれの症状の有無や重症度はどうかと診察や検査が行われます。最終的には、CHARGE症候群の診断は、その先天異常の組み合わせから医師達によってなされます。その症状の組み合わせのパターンや重症度の幅は、ひとりひとりの子供によって大きいので、時にCHARGE症候群の診断がなかなかつかないこともあります。
原因はなんですか?
CHARGE症候群の原因は、いまだ解明されていません。稀な体質(先天異常)で、起きることを予測する方法もありません。通常は、家系の中で、同じCHARGE症候群の症状を有する人はいません。非常に稀に、2人以上、同じCHARGE症候群を有する家族が知られています(これらは、多くは昔の医学の文献での報告です)。少なくとも、妊娠前、妊娠中の、病気、薬、なんらかの暴露などが原因であるという証拠は認めていません。
もう1回同じことがありますか?
両親がCHARGE症候群の症状がなく健康な場合、次のお子さんがCHARGE症候群を有する確立はほとんどゼロに近いです(実際は1-2%と考えられている)。
CHARGE症候群は予防ができますか?出生前にわかりますか?
現在のところ、原因が不明であるので予防をする方法はありません。妊娠中にCHARGE症候群を診断することはできませんが、妊娠中の超音波検査でCHARGE症候群にみられる症状(たとえば、心疾患や口唇裂など)を注意深く詳細に検査することは可能です。また、遺伝カウンセリングを行っているところで、そのご家族に合った詳しい情報が得られることがあります。
将来はどのようなことが起きますか?
検査、手術やいろいろな治療などに時間がかかり、また多くのエネルギーが必要です。多くの専門の医師達が異なった立場からあなちのお子さんの症状、能力や限界について情報を提供します。これらの評価は、将来的な医療的な治療や療育の基礎を形作るために有益です。遺伝カウンセラー(注)は、予約のコーディネートや、多くの専門の医師達から得た情報を理解する手助けをしてくれるでしょう。
(注)現在の日本の医療サービスの中で遺伝カウンセラーという職種は、まだありません
初期の問題
CHARGE症候群がひとつの疾患として認識される前には、それぞれの症状は別々の治療を受けていました。現在、それぞれの症状に関連性があるという情報や、CHARGE症候群の治療の経験の蓄積があるということは有益なことです。お子さんにとってCHARGE症候群の診断と症状の評価は、その治療とその後の健康管理に大変重要です。
身体的症状
多くのCHARGE症候群の症状は、新生児期に既に明らかであり、早期に治療がなされます。早期に症状があらわれ手術的な治療が必要なものを表3に示します。これらの症状はCHARGE症候群だけに認められるものではなく、治療方法については良く確立されています。CHARGE症候群を有するお子さんの多くは、生後2,3年の間、たくさんの手術や治療が必要なことが多く、病院に長く入院することになります。
より重度でない問題について
より重度でない症状は、重度で生命に直結する症状の治療の後で、初めて診断されたり、治療を受けることになる場合があります。たとえば、停留睾丸と尿道下裂は、多くの場合手術が必要ですが、生命に直結する症状ではありません。これらの手術は、通常、新生児期以降に検討されます。
網膜のコロボーマは、しばしば年長にならないと気が付かれないことがあります。コロボーマは視力に対して、大きな影響を与えますが、心疾患のように、本人には苦痛を訴えませんし、また口唇裂のように手術で治るものでもありません。それ故に、眼科的評価や検査は、心臓などの手術が終わって全身的に落ち着いてから行われることになります。
難聴はすぐに診断されにくいCHARGE症候群の症状のひとつです。CHARGE症候群と診断を受けていないと特に診断が遅れることがあります。
たとえ、小さな症状であっても、CHARGE症候群に伴うとされる全ての症状に対しての、繰り返しの評価は非常に重要です。
家族の生活について
CHARGE症候群を有する子供のご両親は、生後数ヶ月から何年間のあいだ、自分の子供のことの心配に際限のない時間を費やします。夜、眠れないこともあるでしょう。子供の入院や、検査、外科手術のために、多くの日々を病院で過ごすかも知れません。病院で、お子さんに時間とエネルギーを費やすことは、しばしば、通常の家族の生活を壊すことになり、それぞれの家族のみんなにとって難しいことになることがあります。家に残っている兄弟姉妹は、しばしば、無視されたと感じることもあります。ご両親がお互いに、かつ、他の子供達に、お子さんが今どういう状態なのか、また、自分達の気持ちをお互いに話し合うことは非常に大切です。その後、万が一、問題が起きないように、家族の中でコミュニケーションを保つことは重要です。どのように子供に話したら良いか、どのように質問に答えたら良いかなどには、病院のソーシャルワーカーが相談に乗ってくれることがあります。
あなたの友人や他の親戚に、お子さんのことを話すのも、時に難しいと感じるかも知れません。やはり、ソーシャルワーカーや遺伝カウンセラーが相談の窓口になることがあります。
成長と発達
大きな医療的合併症が治療され、落ち着いたならば、次に、子供の発達、学習、教育に重点が移ることになります。それまでには気が付かなかった新しいことが大切になることがあります。年長になってからの合併症と発達の障害についてこの項で示します。
成長: CHARGE症候群を有する子供さんには、低身長を有することが多く見られます。これは、成長ホルモンの分泌不全、下垂体の異常や、原因不明の理由によります。内分泌科の専門医により、正確な診断、また治療が可能かどうかの評価がなされます。
成熟: 性的成熟(二次性徴)に関しては、不完全であるか、医療の手助けが必要になります。これはCHARGE症候群に伴う下垂体の機能不全によります。治療を行っても、CHARGE症候群の方の多くは子供を持つことが難しいとされています。CHARGE症候群を有するお子さんは、10代になるまでにホルモンの分泌不全の有無を含めた内分泌学的評価を受ける必要があります。
知能: 知能的には限りがあることが多いです。CHARGE症候群を持つお子さんは、正常の知能から重度の知的障害を有するまで幅があります。知的能力を評価する際に、視力や聴力の障害がある場合には難しいことが多いです。視力や聴力に障害のあるお子さんは、それらに経験のある専門科に評価してもらうことが不可欠です。CHARGE症候群のお子さんのうちの一部の方は、援助を受けながら普通校に通っています。一方、他のお子さんは、彼らが学んでいくのにケアが必要なため、特別な学校(養護学校)で学んでいます。
視力(視覚): CHARGE症候群を持つお子さんは、一般的な眼の問題(近視や遠視)を持っていることが多く、これらは眼鏡で矯正可能です。しかし、これに加えて、時にコロボーマを持つお子さん達は、大きい盲点を持っている可能性があります。盲点の大きさがどれくらいか、また何処にあるかを知ることは大切です。手話や他の視覚的な働きかけが盲点でなく視覚の認められる視野に示されるべきです。これらの問題の診断には、経験を積んだ眼科医による検査が必要です。
聴力と耳: CHARGE症候群に見られる外耳の形は、通常は難聴の原因にはなりませんが、難聴の可能性の1つのサインにはなります。CHARGE症候群に於ける難聴は重度のことが多く、評価するのも難しいことが多いです。正確な聴力の測定や補聴器を合わせるために、頻回に耳鼻科に通わなければならない場合があります。一般的に、CHARGE症候群の難聴は外科的には治療ができません。しかし、慢性的な中耳の滲出液や中耳炎に対しては、耳の手術(PEチューブ)が必要で、耳鼻咽喉科医による継続的なケアが必要になります。
会話と言語: CHARGE症候群では、言語や会話能力の発達には2つの因子が関係します。聴力と知能です。年齢の小さい頃には、聴力と知能の評価と関連して、言語の評価は療育の計画を立てるのに大切です。
全身状態: CHARGE症候群を持つお子さんは、生後、数年の間は、全身的な健康状態の優れないことが多いです。多くのお子さんで、風邪を繰り返し肺炎になることがあります。小さな問題であっても、CHARGE症候群を持つ子供にとっては深刻な問題になることがあり、注意が必要です。
教育: 多くの症状を重ねて有することにより、学校にとって、適切な教育プログラムを作ることが難しいことがあります。連邦政府(米国)の法律では<{1人1人の子供は最も制限のない環境を保証される」とされています。CHARGE症候群を持つお子さんにとっての適切なプログラムとは、個人の知能、視力、聴力、言語能力、運動性、自立能力などを考慮したものでなくてはなりません。お子さんが、最高の教育プログラムを受けられるように協力してくれる人々や機関のために(自分の州に置くために)、努力が必要になることもあります。
サービスと財源: 多くの専門科の医療サービスがあなたのお子さんの一生を通して必要となるでしょう。CHARGE症候群のそれぞれのお子さんに見合ったサービスが必要となります。あなたのお子さんの身体的問題に必要な医療サービスは、眼科、外科、泌尿器科、内分泌科に及びます。会話、聴力、言語の問題は耳鼻咽喉科、手話難聴の教育、言語療法などの助けを必要とするかもしれません。発達の遅れは、療育、理学療法、作業療法などにより援助されます。あなたのお子さんが学校へ行く年令になったら、あなたは教育や学校制度について知らなければならないでしょう。そして、後には職業訓練のサービスについても知る必要があるでしょう。
用語集Apnea: 無呼吸
通常睡眠中に、異常に呼吸が止まってしまう生命を脅かす可能性のある症状。時に呼吸を再開するために救急処置が必要。
Atresia: 閉鎖
開いているはずの構造が閉じていること。Choanal atresia, Esophageal atresiaを参照
Central nervous system abnormalities: 中枢神経系の異常
CHARGE症候群の子供に認められるこの症状は、脳の構造の問題、小頭症、けいれん、無呼吸、中枢性の言語理解の障害、嚥下摂食障害
CHARGE facial features: CHARGE症候群の顔貌
CHARGE症候群を有する子供は両親に似ています。しかし同時に、CHARGE症候群に共通の特徴も有しています。正方形に近い顔の形、平らな頬骨、非対称な顔(左右差)、広い鼻と高い鼻柱、左右の耳介の形の違い、顔貌の特徴は何も健康面には問題ありませんが、CHARGE症候群の診断のきっかけになることがあります。
Choanal atresia or stenosis: 後鼻孔閉鎖、狭窄
後鼻孔とは、鼻から呼吸をするときの鼻の後ろと喉への通り道です。閉鎖とは生まれつき完全にその通り道が閉鎖されている場合で、狭窄とは通り道が狭くなっている状態です。閉鎖や狭窄は片側、両側のいずれの場合もあります。もし両側性の場合には、出生後すぐに呼吸のために手術が必要となります。狭窄は、その後の呼吸障害や鼻閉塞を起こす可能性があります。
Cleft lip and/or cleft palate: 口唇口蓋裂
多くのCHARGE症候群の子供で口唇裂や口蓋裂を有します。口蓋裂の場合、手術治療を行っても、その後、中耳炎や発声の問題の起きることがあります。
Coloboma: コロボーマ
眼球のどこかの部分の楔状、あるいはかぎ穴状の欠損。コロボーマは、眼球のどこの部分にも起き得ますし、また片側、両側でも起きます。虹彩のコロボーマは、多くの場合視力には影響ありません。網膜や視神経のコロボーマは熟練した眼科医によって診断されます。網膜や視神経のコロボーマは視力に障害を起こします。視力の低下や視野の欠損、盲点を有します。
Cryptorchidism: 停留睾丸
精巣が陰嚢まで下がっていないこと。もし、陰嚢まで降りていない時には手術的に治療が可能です。
CT scan: CTスキャン
脳の構造を検査するための特別なX線装置。
Developmental delay: 発達遅滞
多くのCHARGE症候群の子供は発達の遅れを伴います。発達の遅れに関しては、知的な遅れが主な原因ですが、他の原因も関与します。視覚障害は、運動発達の遅れの原因になります。難聴は言語の遅れの原因となります。発達は、知的な能力、視力、聴力のコンビネーションに左右され、発達の遅れは、必ずしも知的障害を意味するわけではありません。
DiGeorge sequence: ディジョージ・シークエンス
生まれつき胸腺と副甲状腺が欠損している状態。易感染性と発達の遅れをきたす。
Ear anomalies: 外耳の
CHARGE症候群のお子さんは、しばしば耳介の形が変わっていることがあります。これはCHARGE症候群に特徴的です。特徴的なCHARGE症候群の耳介とは、小さく幅広く、ほとんど耳朶がありません。多くの場合、外耳輪は無く、あるいは途中で欠けているようです。両側の耳の形は異なることが多いです。耳介の形の異常だけでは、外耳道の狭窄や閉鎖を起こしていなければ、難聴を伴うことはありません。補聴器を必要になった時、しばしば、その耳介の形から、かけづらいということがあります。耳介の形は特徴的でCHARGE症候群の診断にしばしば有用です。
EEG: 脳波
けいれん波の有無を検査する脳からの電位活動。
Esophageal atresia: 食道閉鎖
食道が医に接合する代わりに盲端の袋状になっている状態。食道閉鎖を有する児は、手術をしない限り嘔吐を続けます。しかし手術を施行し治癒しても、時に嚥下摂食機能障害にて、摂食が困難なことがあります。
Facial pajsy or paralysis: 顔面神経麻痺
CHARGE症候群の子供は顔面の筋肉をつかさどる顔面神経が適切に動かないことが多いです。これは、非対称笑顔や目を閉じれないことなどの症状となります。患側の目は涙を良く産生することができないかもしれません。
Gastrostomy tube: 胃瘻
食事のために腹壁から胃に外科的に挿入されるチューブ。胃瘻は、重症な口蓋裂や、気管食道瘻、嚥下障害のために経口的に食事がとれない場合に行われます。
Hearing loss: 難聴
CHARGE症候群の子供の約85%になんらかの難聴を有します。難聴は、伝音性、感音性、混合型があります。またその程度も軽度から重度まで幅があります。しばしば難聴は進行性です。CHARGE症候群の難聴は、低音域の難聴の伝音声と高音域の難聴の感音性の混合型が多いです。難聴の程度は、乳児や幼少時は正確に判断することは困難です。よって、繰り返しの評価が重要です。
Heart disease,congenital: 先天性心疾患
約50%のCHARGE症候群の子供に何らか心疾患を有します。あるものは心雑音だけで、あるものは生命を脅かし手術の必要な心疾患を有します。CHARGE症候群に認められる心疾患は、ASD、VSD,PDA,両大血管右室起始症、肺動脈狭窄などです。CHARGE症候群と診断されたお子さんは、みな心疾患の有無の評価が必要です。
Hypogonadism: 性腺機能不全
性腺や外陰部の未発達。男の子では、小陰茎や停留睾丸。女の子では、陰唇の低形成や欠損。どちらの性であっても、性腺機能不全によって、性ホルモンの補充がないと思春期の発来しないことが多いです。
Hypospadias: 尿道下裂
男の子の外陰部の異常で、尿道の開口部が陰茎の先端にないこと。手術が必要になります。
Imperforate anus: 鎖肛
肛門が生まれつき閉じていること。手術が必要になります。時には、うすい膜性の閉鎖ですが、多くは直腸が盲端になっていて、一旦は腹部に人工肛門を作り、その後、本来の肛門の位置に下げて開口させます。
Infections: 感染
CHARGE症候群の子供達は特に出生後しばらくは、調子が悪くなりやすいです。特に、繰り返す中耳炎や肺炎が多いです。2,3才になると、肺炎は少なくなります。中耳炎は10代まだ続くことがあります。
Inguinal hernia: 鼠径ヘルニア
鼠径部のふくらみで、実際には腹腔との間の小さな穴から直腸が脱出すること。腸が脱出したままでいると、壊死をしてしまうので、手術が必要になります。
Mental retardation: 知的障害
CHARGE症候群のお子さんの知能は、正常の場合から重度の遅滞の方まで様々です。CHARGE症候群のお子さんの多くは何らかの知的な障害を有します。年少時には、知能を正確に評価するのは困難です。それは、多くの場合視覚や聴覚の問題が言語発達などに影響を与えますし、多くの期間を病院で過ごすことが多いためでもあります。しかしながら、お子さんの知的な能力をきちんと評価を行うことは、適切な養育教育環境を整えるのに有用です。その評価は、視覚聴覚障害の子供達に経験のある心理士などによって行われます。
Microcephaly: 小頭症
頭位が小さいこと。
Omphalocele: 臍帯ヘルニア
臍帯の周囲が適切に閉じなかったこと。しばしば、生まれつき腸などが腹部の外に出ています。手術によって治療されます。臍ヘルニアは最も軽度の臍帯ヘルニアといえます。
Otitis media: 中耳炎
耳の感染。これらは鼓膜の後ろの中耳に液体が溜まります。この液体に感染が起きると、耳の痛みや難聴になります。もし、液体に感染が起こらないと、痛みはありませんが、難聴を呈します。CHARGE症候群での中耳炎は、多く10代まで続き、継続的な治療が必要です。
PE tube: PEチューブ
小さなプラスチック製のチューブで、外科的に鼓膜に挿入し、中耳の液体の貯留を取り除いたり予防するもの。
Pituitary abnormalities: 下垂体機能異常
下垂体とは脳の底面にある分泌腺で、成長、性腺機能、副腎ホルモンの産生などに重要なホルモンを産生する場です。CHARGE症候群のお子さんの一部に下垂体がうまく働かないことがあります。すなわち、成長に大事なホルモンや思春期の発来に重要な性ホルモンの欠乏になります。もし治療が行われないと、低身長や、二次性徴が出現しないことになります。これらの問題には、現在、ホルモン補充療法が行われます。
Posterior urethral valves: 後部尿道弁
尿が膀胱から尿道へ流れる部分の小さな組織。これがあると、膀胱から尿が排出できず、腎臓に障害が起きます。通常、手術が必要です。
Ptosis: 眼瞼下垂
CHARGE症候群の顔面神経の障害によって生じる上眼瞼の下垂。
Retarded development: 発達の遅れ
Developmental delay, Mental retardation 参照
Sensory deficit: 視覚障害、聴覚障害
Short stature: 低身長
低身長、時に成長ホルモンの分泌不全で起きます。多くのCHARGE症候群の子供達は成長ホルモンは正常ですが低身長を有します。
Swallowing difficulties: 嚥下障害
多くのCHARGE症候群のお子さんは、たとえ食道閉鎖や気管食道瘻などを有していなくとも、哺乳や嚥下に必要な筋肉の協調の障害を有します。この障害は、脳神経の?,?などの障害と考えられています。この障害によって、ムセ、無呼吸、誤嚥性肺炎などを起こすことがあります。経口からの摂食が確立するまで、経管栄養を行うことがあります。通常は、経口が確立するのは5,6才の頃が多いです。
Tracheo-esophageal (T-E) fistula: 気管食道瘻
気管と食道が繋がってしまう異常。もし手術的治療がなされないと食事は気管に入ってしまい、窒息や肺炎になります。
Umbilical hernia: 臍ヘルニア
Omphalocele を参照
Urinary tract malformations: 尿路奇形
CHARGE症候群に認められる尿路異常には、後部尿道弁、腎臓の形の異常、位置の異常、膀胱尿道管逆流症など。
CHARGE Syndrome
A BOOKLET FOR FAMILIESMargalet A. Hefner, M.S., James W. Thelin, Ph.D., Sandra L.H.Davenport,M.D., Joyce A. Mitchell,Ph.D. 1988
翻訳: Dr.川目 裕(信州大学附属病院遺伝子診療部) 一部の項目は、最新の情報に基づくために、1999年に出されたCHARGE SYNDROME : A MANAGEMENT MANUAL FOR PARENTS (Editied by Meg Hefner and Sandra L.H. Davenport) を追加し翻訳しています。
この内容は、翻訳者の川目先生の許可を頂いて掲載しています。
無断転載等は一切禁止いたします。
CHARGE症候群の原因の遺伝子が発見されました | ||
文責:長野県立こども病院 総合周産期母子医療センター遺伝科 川目 裕 |
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1. | オランダのナイメーヘングループによってNature Geneticsという権威ある学術雑誌のオンライン版に8月4日に発表されました. |
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2. | 論文の要旨 | |
マイクロ・アレイ法(染色体の小さく欠けている(欠失)部分を検査できる新しい解析技術)を用いて,2名のCHARGE症候群を有する患者さんに第8番染色体のq12という部位に,染色体の微小の欠失が見いだされました.その小さな欠失が他の患者においても認めるかどうかを,17名のCHARGEの患者さんについて調べましたが,同じような欠失は認められませんでした. そこで,始めのふたりの患者さんに認められた,小さな欠失の中に存在する9つの遺伝子の遺伝暗号の配列をすべて調べたところ,CHD7という遺伝子に,17名中10名(59%)に,変異(遺伝暗号の配列の違い)が見いだされました.そこで,このCHD7という遺伝子が原因遺伝子のひとつであると結論しています.すなわち,染色体の欠失で,この遺伝子を失っており機能しない,あるいは,遺伝子の中に変異があって機能しないということが原因ということです. この遺伝子の変異が認められた患者さんで,両親,あるいは両親の一方の遺伝子検査を8家族で行っていますが,すべての親には遺伝子の変化は認められませんでした.すなわち,この遺伝子の変化は,今回調べた家族では,突然変異で生じたとのことでした. CHD7という遺伝子は,Chromodomain Helicase DNA-binding遺伝子と呼ばれるもののひとつであり,この遺伝子からつくられるたんぱく質は,染色体の構造や遺伝子の発現に作用し,胎生初期の発生に重要な働きを有すると推測されていますが,いまだその働きは詳しくはわかっていません.この遺伝子のたんぱく質は,胎生期,また成人の眼,脳,内耳,胃,腸,心臓などにみられます. |
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3. | CHARGE症候群の原因遺伝子発見についてのコメント |
CHARGEの会への入会を希望される方は、下記の内容をメールにて送信してください。 メールのあて先はこちらです。後日申し込み用紙等をお送りいたします。 |
1.氏 名 (会員登録される方のお名前・ふりがな)、患者さんとの続柄
4.メールアドレス
6.入会のきっかけ(医療機関からのすすめ、教育機関からのすすめ、インターネットで検索して、会員からの紹介、会員のSNSなど差し支えない範囲で構いませんので、よければご回答をお願いします)
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賛助会員も随時募集しております。ご登録頂ける方は、下記の内容をメールにて送信して下さい。 メールのあて先はこちらです。後日申し込み用紙等をお送りいたします。 賛助会員の方へは会報や、催しのご案内等をお届けさせて頂きます。 |
1.氏 名・ふりがな
2.所 属(病院・学校・会社・団体名と支障の無い範囲で結構ですので 部署や担当等詳しくお知らせください) 3.会報送付先 郵便番号 住所(所属先・自宅どちらでも結構です) TEL/FAX メールアドレス 4.選 択
個人会員 年会費3000円 団体会員 年会費5000円 |
1997年2月 | 呼びかけ・家族5組で発足 |
1997年4月 | 第1号会報発行(以降年2回以上継続発行) |
2001年8月 | 第1回「CHARGE夏の集い」開催・愛知県江南市 参加家族15家族 、医療・教育関係者9名 |
2001年9月 | 交換ノート開始 |
2002年8月 | 第2回「CHARGE夏の集い」開催・愛知県江南市 参加家族20家族、医療・教育関係者9名 |
2003年3月 | CHARGEの研究者メグ氏・サンドラ氏を迎えての 家族の会・公開講演会参加(横浜) |
2003年8月 |
第3回「CHARGE夏の集い」“医療・教育に関する個別相談会IN信州”開催 |
2004年8月 | 第4回「CHARGE夏の集い」開催・滋賀県長浜市 参加家族22家族(72名)、 医療・教育関係者20名(うち学生5名) |
2005年7月 | 第5回「CHARGE夏の集い」 IN 横浜 参加家族34家族(106名)、 医療・教育関係者33名 |
2006年8月 | 第6回「CHARGE夏の集い」 IN 兵庫 参加家族31家族(123名)、 医療・教育関係者35名 |
2007年8月 | 第7回「CHARGE夏の集い」 IN 箱根 参加家族29家族、 医療・教育・福祉関係者28名 |
2008年7月 | 第8回「CHARGE夏の集い」 IN 千葉 |
2009年7月 | 第9回「CHARGE夏の集い」 IN 新潟 |
2010年8月 | 第10回「CHARGE夏の集い」 IN 福岡 |
以後年1回、「CHARGEの集い」を継続開催中です。
第11回 2011年8月 埼玉
第12回 2013年7月 神戸
第13回 2014年7月 東京
第14回 2015年7月 札幌
第15回 2016年7月 伊勢志摩
]]>日時 8月4日(土)
13:00〜17:00 集い
17:00〜18:30 展望大浴場、露天風呂、足湯でリフレッシュタイム
18:30〜20:30 懇親会
場所 ホテルおかだ
神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋191
(箱根登山鉄道「箱根湯本」駅より湯本温泉郷共同 バス5分)
開催日 平成18年8月26日(土)〜27日(日)
会 場 グリーンピア三木
兵庫県三木市細川町槙山894-60
13:30〜 開場
14:00〜17:00 集い
18:00〜20:00 懇親会
27日 10:00〜12:00 集い(2日目)
CHARGEの会は、
患者家族が運営する会費だけが財源の小さな会で、
補助金も助成金もありません。
大変な思いと費用を使って、
医療・教育の情報を求めて
全国から患者家族が病児を伴って兵庫に集います。
交通費や宿泊費を自己負担するだけでなく、
会場費などの分担もしなくてはなりません。
患者家族の負担が少しでも少なくなるよう
どうぞよろしくお願いします。